今までヨーロッパ内の移動と言えば長距離はもちろん飛行機。その他バスとか電車を使ってきたのですが今回はレンタカーを初めて使ってみることにしました。場所はドイツのミュンヘン。ご存知のようにドイツ国内であれば隈無くドイツ鉄道が張り巡らされています。大都市間に多くの路線と本数を持つタイムテーブルを正確に運行していて使い勝手の良いドイツ鉄道パスもある欧州でも一二を争うほど移動には便利な国がドイツです。 今回はユーロ2008のためのスイス、オーストリアに近いエリアということでミュンヘンをベースとすることにしました。本来は開催地へ宿泊するのがもちろんベストではありますがホテルは異常な混み方でしかも大変な高額ともなれば比較的近くてホテル代も安く、しかもチョイスがある所ということでザルツブルクやインスブルックにも行きやすいドイツのミュンヘンを選んだ訳です。 さてユーロ2004のポルトガル大会では暑さも考慮して試合は夕方頃から多く開催されていましたが今回の大会は土日を含め平日も夜のキックオフとなりました。しかしこれが結構大変。バスや鉄道は便数も限られますしましてやそう遠くもない距離です。どうしようと考えた末に今回はレンタカーのお出ましとなった次第です。 さて今回移動するのはミュンヘンからザルツブルク迄です。レンタカーでザルツブルグへと向かったのですがミュンヘンからザルツブルグの距離は約170キロの道のり。通常であればそう緊張も疲労もしないような距離、運転時間ですがこれがなかなか初めての欧州での運転はやはり緊張の連続。器用で慣れた方は別でしょうが私のように不器用で怖がりな性格が災いして道中ほんと悪戦苦闘の連続でした。皆様も今後レンタカーを借りる時にはぜひとも参考にして頂けたらと思います。 結論から言えばやっておけば良かったことの一番は先ずはレンタカーのチョイス。取りあえず一番安いクルマを念頭に手配をしたのですがこれは間違いではありません。欧州のガソリン代金は日本よりもはるかに高額でまた小回りの利く小さなクルマはとても重宝しました。しかし最低でもオートマチック車を借りておけば良かったと後で後悔することになりました。運転を始めてしばらくは慣れない右側通行に悪戦苦闘。しかも左ハンドルに加えマニュアルシフトで集中力は散漫に。アウトバーンと言っても乗ってしまうと日本の高速道路を走るのと大差はありません。全体のアベレージスピードがかなり速いというだけです。しかしそれでもいつもよのようにリラックスしてハンドルを握ることは出来ず結局は右側通行のプレッシャーに屈した事になってしまいました。おたおたもたもたで日本での運転暦うん十年のベテランもここではたじたじです。マニュアル車も国内なら平気なのですがこちらももたつく始末。しかも日本車に比べるとシフトが固くて入りにくい。もう疲労困ぱいです。とにかく欧州ではマニュアルシフトが主流ですので私のような不馴れな方は早めの手配でオートマチック車を確保することをお勧めします。ただし車種は限定される恐れがありますのでやや大きめのクルマしかない可能性もあります。ご注意下さい。
それともう一つはナビを借りておけばと後悔しました。もちろん知らない土地ですからわざわざ運転前日に細かな道路地図をミュンヘンで探して持参はしていましたがそれでもナビを付けておけばやはり安心度は違ったかもしれません。夕方から夜の運転もありそういう場面ではやはりナビの方が頼りになったものと思われます。 いつのなら無休憩で走る距離ですが、2度休憩を挟みゆっくり走りました。最初の休憩のときにサービスエリアのガソリンスタンドでオーストリアのアウトバーンを走る際必要なシール(ヴィニエッテ)を購入しました。ドイツのアウトバーンは無料ですが、オーストリアのアウトバーンは有料。 このシールを購入してフロントガラスに張り付けないといけません。有料といっても10日間で7ユーロ程ですから日本の高速道路に比べたら格安ではありますが。 先日読んだ新聞記事ではドイツで主流の速度無制限のアウトバーンでしたが最近は一部の道路で老朽化が進み制限速度を設ける道路が多くなったとのこと。時代、時代で高速道路の状況も変わってくるものですね。
さて今回は欧州チャンピオンズリーグではなくユーロ2008の観戦のための移動です。観戦予定なのはギリシャ対ロシア戦でしたが国境付近ではロシアサポーターの乗ったバスに何台も遭遇しました。彼らはかなり盛り上がっているようで国旗を振り気勢を上げていました。私のイメージではロシア人が気勢を上げると言えばウオッカを飲みながら酔っ払って大声で喚くなんていう事を想像していたのですがそれは私の勝手な偏見だと分かりました。某国のサポーターなんかよりは余程大人しくスタジアムでも乱暴な印象は一切受けませんでした。 .
国境を越えると言ってもドイツとオーストリアは同じユーロ圏。まして兄弟国みたいなものでもありパスポートのチェックもなくすんなり通過。チェックしていたのはどうやらオーストリアの高速券=ヴィニエッテをきちんと購入しているかどうかだけだったようです。ただこの国境付近でも高速券は購入出来ますので焦らなくても良いみたいです。 オーストリアに入るとスタジアムへの案内の表示が現れました。その表示に従いアウトバーンを降りるとすぐ近くに臨時駐車場がありました。一般道の走行は難しいので有難いことこの上ありません。試合開始まで5時間もあるので駐車場には車はまだ疎ら。駐車場のアシスタントの指示に従い一番奥のスペースに車を停めそこからはスタジアムや市内中心部へシャトルバスでの移動、いわゆる「パーク&ライド」というシステムです。まだ試合まで時間があったのでシャトルバスに乗って市内中心部へ向かいました。以前にも訪れたザルツブルグではありますが今回はまた違った雰囲気でとても素敵な佇まいのすばらしい町です。あまり広くない旧市街地の道はギリシャやロシアのサポーターがいっぱいに溢れかえっていました。
さて今回借りたクルマですが スペイン製の小型車SEAT(セアト)。もちろんこれを借りた理由は簡単で一番安かったからであります。それでも今回二人で移動したのですが何ら不足のない性能に大満足。結構なスピードを出しても安定感もまずまずありさすがその辺りは欧州車といった感じでした。贅沢な装備は一切ありませんが必要最低限ながら十分な動力性能もあり大満足です。 さて大盛上りのギリシャ対ロシア戦が終了すると一路帰路へと向かいます。とは言ってもダイレクトで帰っても中途半端な時間になるため途中まで帰りどこかのサービスエリアで休憩してから帰ることにしました。サービスエリアにはホテルが併設されているところもあるようですがもちろんもったいないしゆっくりしている時間もありませんから車中泊で十分です。食べ物も、飲み物もそう困らないのですが何となく不便なのがトイレです。トイレがもちろんないという訳ではないのですがどこのサービスエリアでも0.5ユーロ程度のチップを置くか、或はコイン投入口に入れて入るかどちらかとなります。トイレくらいゆっくり、何度でもやらせてよ〜と思うのですが残念ながら欧州でも米国でもこの夢はかないません。新橋のトイレにもチップを入れるシステムはあっても誰も払いませんが日本はトイレに関してはどこでも無料で清潔でこんな嬉しいことはありません。日本バンザイ!
6月も後半で日本は暑いというのにオーストリアやドイツの高地では朝晩相当寒くなる日がありました。ミュンヘン市内でも寒い日が続き、半袖短パンでは寒すぎて遂にアノラックとスラックスを購入してしまいました。そしてこの日の夜も結構寒くもったいないのと環境のためクルマのエンジンは切って寝たのですが朝方寒さで目を覚ましてしまいました。それでも数時間の睡眠ながらすっきりした目覚めで再びミュンヘンを目指して走行を開始です。
そしていよいよ今回の出発地ミュンヘン空港に近付いてきたところで給油となりました。給油はほとんどがセルフです。何種類かあるガソリンから自身のクルマに適したものを選び給油するシステムです。空いたところを見つけて勝手に給油。給油が終わってからコンビニの店内で自分が給油したところのナンバーを告げて清算という流れです。日本も原油高騰のためどんどん値上がっているガソリン価格ですがヨーロッパでは1リッターが200円以上。高い高いと嘆く日本のガソリン事情ですが欧州はこれを上回る高さ。合理的な欧州の人たちですから決して高級車やスポーツカーといった派手なクルマや見栄を張ることなく自分のライフスタイルあったクルマを選んで乗っているようです。
そして給油後は無事に返却用の駐車場へ辿り着き何事もなくレンタカーの短い旅も終了しました。もっとうまく出来たかもしれないし、いやこんなものかと思い直したりもしましたがいずれにしても事故がなく無事に終了したことが何よりの成果だったのかもしれません。皆様もとまどったり、多少道に迷うことがあっても決してイライラしたり慌てることなく安全運転で楽しいご旅行をお過ごし頂けたらと思います。 注)記事に関するお問い合わせはお承り出来ませんのでご了承下さい。
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